ダイヤモンド買取の可能性
結局のところ、約束の納期に十分な時間をもらって大量にPBの発注を受ければ、生産量は平準化され、1個当たりの時間や販売労力は自社ブランドよりも少なくて済むという論理に至るのだ。
このような作戦の行き着くところは目に見えている。
戦略は混乱し、自社ブランド商品Lとの共食いが始まる。
財務的に大きなダメージを受けるかもしれない。
ボーデンに何が起こったかを考えてみよう。
嘗ては有名ブランドを抱えた優良メーカーだったが、徐々にPB製造にはまっていき、最後には行き過ぎたために、自社ブランドを維持する意欲が薄れ、90年代初めには身動きがとれなくなってしまった。
利益率低下と資金不足のために、同社は95年、ついに投資会社に身売りされることが決まった。
いまだにPBの生産に魅力を感じているメーカーでは、PBの生産にあたって、まずマネジャーは、限界費用が増えるかどうかを常に考えなければならない。
PB製造に使う余剰生産設備の固定費も.間接費は、いずれにせよ発生するものだ。
もし追加発生するコストだけではなく、全コストを加味してPB生産を評価すれば、多くの場合はるかに利益率は低くなるはずだ。
多くの場合、共食いはこの程度では収まらない。
C社はリスクが利得を上回ると判断し、自社ブランドへの投資を強化した。
全生産量に占めるPBの製造比率が上がれば上がるほど、コスト全体を加味した分析に意味が出てくる。
またPBを生産することによって、追加生産や流通の複雑さが増し、コスト減どころかコスト増になることがある。
たとえば、PBの供給先ごとに、パッケージやラベルを変えなければならないし、PB契約が増えるごとに在庫維持コストもかさむ。
第3に、PBの売り込みがいかに効率のよいものかが誇張されすぎている。
PB契約の更新時期ともなると、競合企業がこの仕事を奪おうとするために、必然的に交渉は長期化し、骨の折れるものとなる。
また、ほとんどの小売業者では、ナショナル・ブランドやPBごとに異なるバイヤーを置いているため、小売業者ごとに営業経路も2つ必要になる。
第4に、PBの相対的貢献力を過大評価し、したがって共食いによる損失が過小評価されやすい。
たとえPBの売り込みは通常とは別個の取引関係として行われることが多いにしても、営業担当者は受けのいいところで営業したいのが人情だ。
つまりPBの売り込みは、苦手とする得意先ではなく、そのメーカー最大の得意先に必然的に集中する。
PBとナショナル・ブランドでは、製造やマーケティングは、かくも異質なコスト構造に基づいているのである。
したがって、1つの組織が両方をうまく両立させていくのは困難だ。
企業によっては、流通関係者にカテゴリー全体を提案するというアプローチで臨み、両者を一括して管理してみようというところもあるが、このようなやり方は戦略を支離滅裂にし、発言力のある小売業者からは利益の薄いPBの出荷を優先するように突き上げられ、利害の対立を解消するための時間が取られてしまうという結果になることが多い。
また、スリムなコスト体質を持つPB専業メーカーとの競争力を高めるために、PB業務を別組織で管理しようとしている企業もある。
このような企業ではPBの製造に抑えが効かなくなる。
必然的にPBはナショナル・ブランドの売上げを食っていく。
PBの製造を奨励する人々は、「競合対策上必要だ」と言う。
もしあるメーカーがPB契約を拒否すれば、他社が受け、PBをつくって得た儲けを自社ナショナル・ブランドのマーケティングに注ぎ込むだろうと言うのだ。
ほとんどの商品カテゴリーにおいてPBを買う消費者は、合理的、かつ継続的な消費者セグメントだから、多様化という見地からも、メーカーが市場で二股をかけるのはもっともなことだとも言う。
また、PB製造の提唱者は、両方製造していれば、そのカテゴリーについて、ナショナル・ブランドとPBとの間における棚の分配、両者の価格差、ナショナル・ブランドのプロモーション時期決定などを通して影響力が増すと言う。
さらにナショナル・ブランドとPB両方を供給することによって、流通への"つぶし"も強化されると言う。
もっと言えば、メーカーはPB市場に参入することによって、消費者や発生するコストについて知識を深め、ナショナル・ブランドを防衛する能力が強化されると、これらの論者は確信じているのである。
これらの言い分を個別に取り上げ、短期的な見地から見れば、一見説得力があるように思われる。
競争優位を強化する一時的な戦略として、PBの製造を効果的に使った企業もいくつかある。
アメリカではGEが電球事業で二段階方式を採用したことがある。
同社はまず競合他社からPB契約を奪い、店頭で比較対照テストを行って、GE製品のみを扱ったほうが、GE製品とPBの両方を扱うよりもカネになることを得意先に証明してみせたのだった。
PBをつくることによって、ナショナル・ブランド・メーカーの流通との関係が長期的に強化され、ナショナル・ブランドへの特別なマーチャンダイジング・サポートが得られるようになるという証拠はどこにもない。
多様化を進めるどころか、PB契約によってナショナル・ブランド・メーカーは少数の得意先への依存度を高め、コスト構造をさらけ出し、最新の製品や技術革新を独占できなくなり、契約更改が近づくと常に値引き要求にさらされることになりかねない。
20種以上の商品カテゴリーで競争を繰り広げる、アメリカのある多国籍消費財メーカーであるC社(仮の名称)の事業部長は、自分が担当する工場で、自社ブランドよりもPBの出荷が優先されているのを見て悟然とした。
理由を尋ねたところ、返ってきた答えはこうだった。
「店からはPBの在庫が必要だって言ってきているのですよ。
でも、ウチの商品じゃないのです」もし貴社がPBをつくっているのならば、事業全体に与える影響を評価し、PB事業を自らコントロールできる状態にしておくことが大切である。
それには以下の手順を踏むことが役立つ。
第一に、PBの実態について監査を行う。
驚くべきことに、多くの企業では、自社がどのくらいPB業務を行っているかを、経営トップに知らせていない。
このような見落としが一番ハッキリと出るのは、買収によって外国での事業を急速に成長させた多国籍企業である。
ヨーロッパやカナダのようにPBの浸透が進んでいるところが特に危ない。
このような企業の内部管理システムでは、PBの売上げや、それらに割り当てられた追加アイテム数を正確に反映していないことが多い。
第二に、PBの収益性を、総コストと追加コストをそれぞれ基準として計算する。
C社の場合、総コストに基づいて見てみると、同社のPB事業は、アメリカではほとんどのカテゴリーで赤字であった。
ヨーロッパやカナダでは流通業の寡占化が進んでいるために、ナショナル・ブランド、PB双方について小売価格が高めになっており、おかげでPB事業はほぼ採算がとれていることもわかった。
この情報を使って、同社はPBを評価する新しいシステムを実施した。
これによって証明すべきことは、「なぜやらないのか」から「なぜやるのか」に変わり、同社のアメリカにおけるPB事業は急激に後退した。
第3に、自社ナショナル・ブランドの市場シェアにPBが与える影響を調べる。
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